会いたくても
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--/-- --:-- | スポンサー広告
作品No.286 「くらげ長女」
くらげ長女

ben(コメント)
本日の絵は、”くらげ長女”。
一発書きのドローイングですね。
女性の肖像シリーズと題して、2002年に書いたものです。
これまでアップしてきたものは、ペインティングが主でしたので、ちょっと気分をかえて、いくらか線画を紹介していきます。
六月に入り、気温・湿度ともにいよいよ上昇してきました。
こんな時に、紹介する線画が、「さらっと飲む一服の清涼飲料水」のようなものとして、うけとっていだければ、幸いです。

熊谷ノートできしだい、お送りします。

熊谷ノート(8回目)

雨が止んだ。
コンパクトテントの中から、私とマウント・フフの二人は、真っ白な霧で覆われた雨上がりの風景を眺めた。
外側からは、テントの形を見ることはできない。テントの四隅から映写されるカムフラージュ映像で姿・形を隠している。一見は、”テントは現実世界に存在しておらず、異空間の安全ポケットに収まっている”ような感じだ。
「完璧なる隠れ家としては、期待できないぞ」
フフがぽつりと言った。
出入りの自由な、言ってみれば、”映像で縫われた蚊帳”はしょせん鉄の盾にはならないのだ。
小型の見張りロボットが、我々のところへ偶然に侵入し、発見される可能性はすくなからずあった。
「ですね」
「しっ。声を下げて。あのあたりをみてごらん」
マウント・フフは視線の先、約150メートル先で、霧の中をゆっくりと動く小型のロボを確認したようだった。
「見張りロボか。まずいな。こちらに近づいているようだ」
「はい。僕の視界では、まだ見つけられませんが...。フフさん、すごい視力ですね。でもどうして、150メートル先の対象で、こちらはひそひそ声をしなくちゃならないんですか?」
「しっ。馬鹿。気分だ...」
「気分...?」
「しっ!静かに...馬鹿!...おっと!?...まだ、お前の名前を聞いていなかったな。名を名乗れ!馬鹿もんが...」
「イエス。マスター。トム・熊谷と言います。24歳になったばっかしです」
「なに?名前は?」
「トムです」
「トト?」
「トム!」
「...トマ?」
「...ト...ム」
「トテ?...うーん。発音が難しい名前だな」
「...初めて言われました」
「もう一回頼む。名はなんと?」
「トム」
「トト?」
「はい。トト・熊谷と言います」
「トトか。いい名前だな。我らの一族にも、トトと名乗るものがいた。トトよ。詳しい話は、あの小型ロボをなんとかしてから話すが、できればお前の力を借りたい。俺は偶然お前を見つけ、なり行き上、ここまで連れてきた。助けてやろうと思ってね。しかし、事態は俺が考えていた以上に緊迫してきた。どうやら、トト、君はすでに一度、監視の網に掛かってしまったんだな。その証が、行動範囲を広げ、接近してくるあの小型ロボっていうことさ。今から、二人別々に動いたところで、危険のレベルは変わらない。君を放って、一人逃げることも可能だろうが、俺がそんな奴に見えるか?」
「ええ...」
「ええ!って!」
「いえいえ...ちょっと緊張してきたもんで。見えませんよ。僕こそあなたの力を貸してください。そもそも、僕がここにいるのは、何故ロボが、あんなにたくさんの木を切り倒したのか知りたかったからです。僕は、その理由を知りたいんです。できれば、そのロボの行為も止めたい。それに、状況を緊迫化させてしまった責任が、僕にある以上、自分なりに腹をくくりました。あなたについていきます」
「よし。分かった。それじゃ...」
と、マウント・フフは言って、カモフラージュ映像はそのままに、コンパクトテントをたたみ始めた。
私が、彼の手伝いをしようとすると、彼はこう言った。
「いや。いい。君は接近中の小型ロボの様子を観察していてくれ」
小型ロボは、私の視界にも入るようになっていた。
距離70メートルの位置。
体長130cmの人形ロボット。
その時はまだロボが、”濡れた草の上をふらふらと歩く少年”のようにしか見えなかった。
~続く~

本日はこのへんで失礼致します。ben。


制作年代 2002年
画用紙(A4)
ぺン


参加しています→FC2 Blog Ranking  にほんブログ村 美術ブログへ にほんブログ村 美術ブログ アクリル画へ



06/19 11:21 | 女性の肖像シリーズ(絵)
template design by takamu
Copyright © 2006 ben&kou All Rights Reserved
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。