会いたくても
作品No.242 「馬鹿」
馬鹿


「日常の風景」より。
 リト村世界エピソード。

 ある日、たばこ好きな猟師が、いつものように山小屋に立ち寄りました。
 そこに住んでいる少年と話を始めました。昨日、猟師は村で、とんでもない美人を見たというのです。
 少年は、どんなに美しかったのか知りたくて仕方ありません。興味津々な年頃なのです。
 矢継ぎ早に少年は質問を始めました。けれど、猟師は美人を見た経緯を順序だててしゃべりだしました。
「まあ、待て。待て。こういう事はドラマチックにな、話を進めた方がいいんだ」
 少年はぐっと我慢して、猟師の朝起きた時に思ったどうでもいい事ことから、聞き始めました。
「目が覚めたらな、あくびをしたんだ。『ふわー』とね。それで、コップの水を飲んだら、昨夜みた夢を思い出した。見たこともない程の澄んだ泉で、甘くておいしい湧き水を飲んでいた。すると、馬のような、鹿のような、いや、馬のような、いや、鹿のような、どうだったかな!? まあ、待て、今思い出す」
 猟師はそういって、タバコに火をつけました。空を見ながら、「馬のような、鹿のような」とつぶやきながら、どっちだったか、思い出そうとしているのです。
 少年が、そんな様子の猟師に聞きました。
「角はあったの?」
「あったような。なかったような」
「馬なら、たてがみがあったんじゃない?ふわっふわのたてがみ?」
「たてがみ?うーん。うーん」
 二人は、いつのまにか、五月の晴れ渡った空に浮かぶ、雲をながめながら、「あっちのみたいだった?」「いや、こっちのみたいだったかもしれない」と、馬のような、鹿のような形の流れ行く雲を指差しながら長い時を過ごしていくのでした。

 真っ青な空に浮かぶ、真っ白なかたちの様々な雲。二人は、風にのって空かける四つ足の生き物をたくさん見つけたことでしょう。

 猟師が見た、美人の話はどうなったの?
 お答えしましょう。猟師が見た美人とは、タバコ屋の娘です。後に少年は、タバコ屋の娘が好きになってしまいます。エピソードの一つは、”七枚の絵、七つの話”に収録しています。
 追々、少年とタバコ屋の娘の話は、エピソード形式ですこしづつ話せればと思います。




 
制作年代 2002年
ワトソン紙
えんぴつ、アクリルガッシュ




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04/25 11:53 | 日常の風景シリーズ(絵) | CM:2 | TB:0
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