会いたくても
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 26七枚の絵、七つの話 第26話
 七枚の絵、七つの話



  第 26 話



 十二年前、友人の身寄りがない六歳のひとり息子を引き受けた。私は妻を亡くし、絵を描かなくなり、山に引きこもっていた。
 やつに初めて会った時こう言った。
「お前はバカそうな顔をしているが、私もバカだ。一緒に山にくるか?」
 やつは鼻水を吸い込みながら答えてくれた。
「おじいさんはバカじゃない。うん。山に行く」

 あれから十二年。
 今になってはっきりと分かる。

 私はやつと寝起きをともにし、やつが大きくなる様子を見守った。やつの成長をいくらか手助けできたと思う。
 だが一方で、やつは私を助けてくれたのだ。やつは私の麻痺した心を救ってくれた。



 やつを引き取ったころ、私はまだ妻を亡くした悲しみをぬぐい去れずにいた。思い出に浸り、現実生活にはなんの感情も持てずにいた。
 一年二年とやつと過ごすうちに、そんな私に変化がおとずれた。暮らしの一端一端に、ちょっとしたおかしみや喜びを感じ始めたのだ。
 例えばこんな時だった。
 朝食の際、やつが寝ぼけて皿を食べようとした時。
 やつが初めてまき割りに成功し、うれしそうな顔を見せた時。




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03/16 11:30 | 小説 七枚の絵、七つの話(絵つき小説) | CM:0 | TB:0
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