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10七枚の絵、七つの話 第10話
 七枚の絵、七つの話


  第 10 話



 雨は止んだが気温は低下していた。寒さをしのごうと、焚火の前で炎を両手で抱くようにして座った。たくさんの火の粉が踊るように舞っている。手で火の粉を招き寄せ、何度もオイルドコートの上に落とした。
 濡れたオイルドコートが徐々に乾いていく。「火の粉よ、ありがとう」と心の中で言った。



 綿生地に油をしみ込ませたオイルドコートは、ほどなく乾ききった。それでも、火の粉と戯れていると、小指の先程の火の粉がコートの上に乗った。すると綿にしみ込んだ油と火の粉が混じりあい、かわいい火の妖精がコートの上でチリチリとダンスを踊った。その火の妖精を面白いと思った。約五秒で消えてしまう、妖精を何度も見たいという欲求にかられた。
 大きめの火の粉が飛ぶ度に、コートの上に着地させた。その度に火の妖精がダンスを踊ってくれる。やみつきになり、焚火に松の枝をどんどんくべた。しまいには火の粉が自然に舞うのが待てず、大小無数の火が灯った松の枝を手に持ち、バッサバッサとお祈りをするように振った。
 燃える松の枝からこぼれた無数の火の粉が、コートの上に落ちる。火の粉は火の妖精となってコートのいたるところでダンスを踊る。
 大勢の火の妖精を呼んで舞踏会を開く主催者になった気分だった。



 私は幻想的な気分に浸りながら、火だるまと化していった。コートにしみ込ませたほとんどの油に火がついたのだ。
 髪の燃えるにおいで我に帰ったが、夢から覚めたばかりのような状態だった。ふらふらと歩きながら、おろかなことをしてしまったと悔やんだ。
「おーい。誰か」
 そう言いながら、たき火からすこし離れ、倒れた。


火の妖精


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04/02 11:04 | 小説 七枚の絵、七つの話(絵つき小説) | CM:0 | TB:0
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